3.Sabão スペシャルインタビュー 前編
──「BIG VENUS」はどんなイメージで作っていきましたか?
拓哉「パチンコ台で流れるということで、だったら“当たり中”だろうと。だからテンション高くて、明るくてスピード感があって展開が多い曲がいいかなって。ギターのドゥルルルルル~ってリフがあるんですけど、それは全回転リーチしてるイメージ!!(一同爆笑)」
Tama「それはパチンコやってる人間ならではの…(笑)」
拓哉「あとは確変(大当たりの確率が高くなる)か通常かの瀬戸際。ごぉ~、ろぉ~く、、、、、、あーーー、8だったぁ…みたいな(笑)。もう楽曲のどこを切っても実機に使えるように」
Tama「私もパチンコをちょっとやるので、そのテンションはわかります(笑)」
──どのブロックもフックの嵐でしたね。
拓哉「そうですかね…自分ではわかんないですけど…。ただ、最近は僕の生命線はメロディだと思っていますので。昔は歌詞をすごく大切にしてて英語とかを使うのは嫌だった。でも今はキャッチーな語感であればいい。いいところは取り入れればいいんだなって」
Tama「コーラスも面白かったですよ。“はっちゃけてくださいね!”って言われてる感じ。とにかく私が楽しく声を出せばOK。あれこれ考えずに全部出し切る。何か、若返った感じです。ちょっと恥ずかしい気持ちもあるけど(笑)」
拓哉「ね? 自分のプロジェクトではやらないかもしれないけど、僕が料理するってなればTamaちゃんもやりやすくなる。それと、ニコ動系の曲ってテンポがすごく早くて、初音ミクなんてものすごい数の文字が詰め込んである。だから早口のパートを入れました。歌詞でも大回転してるでしょ?(笑)『CRセクシーフォール』の世界観にか・な・り・マッチングしてると思いますよ」
Tama「台のイメージに合った、楽しい曲ですよね。私も32歳になりますけど“32歳だからやらない”じゃなくて“32歳でも楽しく歌えるんだったらいいじゃない”って思うんです。今でもこういう曲を歌えるのは強みと言うか、自信を失わずにすむ部分だったりする。逆に嬉しいですね。それって幸福なことなんじゃないかな」
──本当にそうですね。サビの“あともうちょっともうちょっと頑張るから”というフレーズもグッと来ます。
拓哉「挫けないんですよね。『CRセクシーフォール』の主人公・桜木ハルちゃんは」
Tama「ハルちゃん。「春~spring~」(笑)」
拓哉「そうそう。コラボッてます(笑)。彼女は普通のOLさんだけど、リングに上がれば世界の強豪と闘うプロレスラーになる。たぶん何回も負け続けるだろうけど、常に闘い続けるんです。それは、みんなの人生と一緒で、諦めきれないものに対しては闘い続けるしかないんです。諦められるんだったらとっくに諦めてるんです。もうちょっと頑張った後、それが報われるかは神のみぞ知るですけど、ハルちゃんは頑張る。Tamaちゃんも頑張る」
Tama「あはははは!! 何、そのプレッシャー…(笑)」
拓哉「拓ちゃんも頑張る(笑)。パチンコもそう。頑張ってもなかなか当たらない」
Tama「そうそう! “あともうちょっと…もう1000円…叶えてほしい、ビッグ・ヴィーナス!!”(一同爆笑)」
拓哉「“まさかこの万券を崩すとは思わんかったぁ~!!”(一同爆笑)」
──(笑)。レコーディングはどうでした?
Tama「拓ちゃんの中で構成が全部出来上がってて、デモ・テープも本チャンで行けるぐらいの肉付けをしてくれました。可愛い曲やけど、可愛らしくなりすぎず、ギターとか結構ゴリゴリ言ってたりして、メリハリが出て良かったですね」
拓哉「ラウドバンドやってた頃の仲間、Natsくん(岡本夏彦)が頑張って弾いてくれました。曲調に合わせてアブリル・ラヴィーンみたいな疾走感を出してくれて。Tamaちゃんの歌入れもめっちゃ早かったですよ。ピッチ(音程)が素晴らしくて“さすがやな”と」
Tama「拓ちゃんの求める完成形がわかりやすいから、歌入れも早かったのかなと。(手をかざして)“見える! その先が見えるぅ~!!”」
拓哉「ははははは!! 結構見えてたよな?」
Tama「うん。それは長年一緒にやった強みなんやろうな。それだけうちらの中でヒスブルって大きかったんだなって。そこで築いたものが、今でもお互いをつなげる力になっている。今回の「BIG VENUS」も“ヒスブルや!!”と思ってくれる人が多くて。他の人のインタビューで“自分達にしか出せない音なんだよ”と書いてあるのを読んで“そんなアホな”って思ってたけど(笑)。本当にそういうものがあるのかもしれない」
拓哉「何かあるんだろうね。もっと言えば、今は佐久間正英さんと離れて作ってるのに、そう感じてもらえるなら、過去に戻ってるわけじゃないんだなって。「BIG VENUS」はセルフ・プロデュースなんで、先輩がたに育てて頂いた分、作品を丁寧に作れば、自分達の中にある“核”みたいなものが出てくるんだなと思います」
○次回はTama&楠瀬拓哉インタビュー後編をお届けします。
text by 柳村睦子