4.Sabão スペシャルインタビュー後編
──sabão(シャボン)というユニット名はどうして?
拓哉「わかりやすいワン・ワードにしたくて、僕がふと思いついたんですよね。しゃぼん玉ですよ、しゃぼん玉。Tamaちゃんって響きにも通じるからいいかなって。しゃぼん玉ってフワフワ漂ってどこへでも飛んで行く。光の照らし方で色も変わる。響きも可愛らしいし、昔懐かしい感じもする。調べてみたらね、ポルトガル語だった。ポルトガル語で石鹸。英語だとsoap」
Tama「へえーー!!」
拓哉「って感じじゃないですか。昔から知ってる言葉なのにお洒落なんですよ」
Tama「じゃあ、子供の頃からポルトガル語使ってたの? ちょっとかっこいい」
拓哉「かっこいい! カステラと同じ。外来語やから。発音もフランス語みたいに「シャボーン」って言う。aの上についてるニョロニョロはアクセント記号で、あれのルックスもかっこいい」
──sabaoにはどんな可能性を感じていますか?
拓哉「二人という最小限の人数なので、常に何かとコラボレートしていたいですね。逆を言うと、コラボがない時は無理して動かす必要はないと思っているんです。定期的にライヴやリリースをする必要もない。だからファンの人には申し訳ないですけど、すごく待たせる時もあれば、立て続けに活動する時もあるかもしれない。ピコピコのデジタル・サウンドをやると思えば、チェロとカホーン(ペルーの打楽器)と歌だけで外国の民謡みたいな曲をやるかもしれない」
Tama「うんうん」
拓哉「だから“可能性”しかないと思います。ただ、sabãoは僕のソロとは言えど、今の自分は他のお仕事にも大切な責任を持っているし、Tamaちゃんも自分のソロやスマイルふくしまでの活動もある。たとえさせて頂くのは本当におこがましいんですけど…僕が今ドラマーとして活動をご一緒している清春さんがソロ、黒夢、SADSを共存させている形とその難しさが、sabãoをやり始めてからものすごく理解できるんです。黒夢ってそんなに頻繁にやるものじゃない。懐かしさにすがることはしない。でも新作を作る意志は大いにある。お互いのソロ活動も尊重している。それってすごく素敵だなって。Sabãoもバリバリやっていく感じじゃない。だけど、コラボレーションしたい相手がいる時に、この形が在るってことが重要だと思うんですよね。たとえばですよ、ドラムパートは自分でなくとも僕のめっちゃ好きなドラマーに叩いてもらうことも可能なんです」
Tama「私もめっちゃ好きな人に歌ってもらう」
拓哉「それは…どうやろぉ…(一同笑い)。それはそっちのソロでやってもらおうかな(笑)」
Tama「そっか(笑)。sabãoについては私も同じ意見ですね。責任感に押しつぶされるような無理な活動は求めてなくて。“あれもやらなきゃ。これもやらなきゃ”で壊れてしまうようにはなりたくない。だけど本当に興味を持てるお話を頂いたら、責任を持って集中して活動する。それくらいのゆとりを持って、気持ち良くやっていけたらなと思います」
──7年経って、こういう自由な関係を手に入れたんですね。
拓哉「自由になったことよりも、一番いいことは7年経ってもまだ音楽をやりたいと思えることですよね。同年代では辞めなきゃいけない選択肢を選ぶ人も増えたし、これからも増えるだろうし。そういう人達の代わりに、月曜日から金曜日まで働いてる人達の代わりに、心の底から音楽をやりきりたいと思える僕が精一杯やって、それを3分間に凝縮してお届けしなくちゃ。それくらいの気持ちで、音楽と楽しく向き合っていきたい」
Tama「この間、久しぶりに関ジャニ∞の番組に出させてもらって、本当にいろんな声を頂いて。それこそ小学校時代の友達からも年賀状が届いて。デビュー当時には連絡がなかったのに、それから10年以上経って“連絡、取ってみようかな”って気持ちになってくれた。いろんなところでつながってるものがある。やって良かった。もっと歌いたい。それをsabãoで再確認しています」
──最後にサイトをご覧の方にメッセージをお願いします。
拓哉「まずは、ここを見つけてたどり着いてくれたことに感謝します。これからも“あの親戚、どうしてるやろな?”ぐらいの感じでたまには覗いてもらえたら(笑)。その時、何らかの形で更新されてるぐらいにはしたいです。sabãoとしての活動も、お互いの活動も、ぜひ見守ってください。この二人が音楽を続けてることに触れてもらったので、そのまま見続けてほしいと思いますね。夢を見続けて。諦めないで」
Tama「ふふふ! 歌詞っぽくなってる(笑)。こんなに喜んでもらえるとは思わなかったので、本当に素直に嬉しいです。再結成とかそういうわけではないんですけど」
拓哉「そうなんだよね。メンバーは一緒だけど、復活とも再結成とも違うベクトル。プロフィールにあるように『新しい表現のかたち』なんだよね」
Tama「うん! その新しいかたちを好きになってくれても嬉しいし、昔と同じ匂いを感じてまた好きになってくれても嬉しい。私としても現在進行形のものを見せられることが嬉しいです。今後ともよろしく!!」
text by 柳村睦子